YAPC::Asia Tokyo 2012
今年も YAPC::Asia Tokyo 2012 に行ってきました。感想などを書きます。

今回、私がトークしようと思ってたこと
「今年はトークしないのですか?」と何人かの方々から質問をいただいて「何か話せばよかったなあ」と期間中に少し後悔していたところでした。来年は絶対トークしようと思いました。
今年は20分または40分のトークをするほどネタがなかったので本編のLTを狙って一ヶ月くらい前からぼちぼち実装をはじめようかとしていたんですが、そうこうしているうちに二週間前になっていよいよやりはじめたら思いっきり根が深くてこれは無理だと思って断念しました。見積もりが甘かったです。。
今年は Plack の SPDY 対応をしようと思ってたんです。現実的に本番環境などでは SPDY は mod_spdy 使ったり node-spdy 使ったり Perl のフロントの何かで SPDY をしゃべるようにしておけば Perl のレイヤでは SPDY は必要ないと思います。
ところで Movable Type 5.2 が先日リリースされましたがようやく PSGI 対応になりました。これまでは Apache などのウェブサーバを用意して動かす必要がありましたが PSGI 対応なウェブサーバであれば何でもよいので、ミニマムな用途であれば plackup で十分な場合もあるでしょう。これが結構便利で Perl さえ動く環境なら Movable Type が動かせるので、ダウンロード後からすぐに動かすことができるようになりました。
手元で簡単にウェブサーバが動くのであれば SPDY も、mod_spdy を使って Apache 上で動かすのではなく、plackup で動くようにしたいよね、っていうのは自然な流れですよね。なので SPDY なウェブサーバを実装しようとしていたんです。そしたら思ったより大変だったというw
今回の会場 で miyagawa さんに「やっぱ Plack で SPDY 対応するならサーバを書いたほうがいいかしら?」って質問したら、サーバを書いた方がよさそうってことだったんで YAPC 期間中は合間を見てサーバを書いてました。できれば形にしたいのでしばらくは SPDY と格闘します。久々に CPAN モジュールにできるといいな。
本番で「SPDY 対応しました!」って言えたらどんなにかっこよかったかと思いますが私は並のプログラマなのでちょっと結果を出せなかったっす。
見たトーク
- Web::Security beyond HTML5 (40 分) Yosuke HASEGAWA
- Exploring Perl 6 through its Modules (40 分) Jonathan Worthington
- Profiling memory usage of Perl applications (40 分) Tim Bunce
- 平均レスポンスタイム50msをPerlで捌く中規模サービスの実装/運用 (40 分) Tatsuro Hisamori
- Lightning Talks Day 1 (60 分)
- 1台から500台までのMySQL運用(YAPC::Asia編) (40 分) Masahiro Nagano
- Padre - The Perl IDE for Normal People (40 分) Adam Kennedy
- Perl 今昔物語 (60 分) Tomihisa Fuon
- 10 more things to be ripped off (20 分) Tatsuhiko Miyagawa
- Perlハッカーは息をするようにCPANモジュールを書く。 (20 分) Daisuke Murase
- ウェブアプリケーション開発の現状・課題とJSX (40 分) Kazuho Oku
- Performance Profiling with Devel::NYTProf (40 分) Tim Bunce
- Lightning Talks Day 2 (60 分)
- How Perl Changed My Life (40 分) Gosuke Miyashita
- Closing (20 分) Daisuke Maki
今年はがっつり見ましたね。個人的には Jonathan Worthington さんの Perl6 の話が面白かったです。Perl6 は実はまだ触ったことないのですがそろそろ触ろうかなーと思ったトークでした。
懇親会の席でオーストラリアから来ていた pauseid: jeprice と話をしました。拙作の Google APIs Client Library for Perl のことを知っててくれてうれしかったです。私は英語を話すのはあまり得意ではないですが、iPhone のブラウザを介して PAUSE ID を見せ合ったり、github のアカウント見せたり、Perl Monger ならではの挨拶を交わしました。実は今回の YAPC 期間中にアメリカ在住の方から Google APIs Client Library for Perl の質問を受けていてメールで返したりしてまして、CPAN にあげていないのに世界中で使っていただいてうれしい限りです。
Perl今昔物語で Blog Hacks ―プロが教えるテクニック&ツール100選 の話題がありましたが、実は私も昨年の YAPC::Asia でその話題に触れていて、しかも miyagawa さんとなおやさんからサインもらったんですよねー。ほんと今年は平田さんとか百式の中の人とかなんかあの頃の人たちが結構集結してて面白かったす。

会場
ここ数年は東工大でしたが、今回は東京大学ということで、赤門や安田講堂などを散策しました。会場は大学がいいですね。トークによっては部屋が満杯で入れない状態もありましたのでもう少し大きな部屋でもよさそうですが、トークと部屋の分け方についてはベストな感じだったと思います。東工大では棟と棟の間を行き来するので大変運動になりました。今回は階段の昇降で大変運動になりました。移動時間が短かったのは良かったです。
スタッフ
過去に何度かボランティアスタッフを経験した立場から見て今回のスタッフはすばらしかったと思います。例えば運営側でミスなどがあるとスタッフが目立ちます。ですが、今回はスタッフの存在さえ感じないほど何もかもがスムースで、スタッフそれぞれがうまく機能していたんだろうなと思います。撤収も非常に速かったようですし、この日のために集まった即席チームなのにすばらしいですね。
例えばノベルティを数百個詰めたり、荷物を運んだり、数百名の参加者のチェックインをしたり、各会場でビデオやタイムキーパーとか、結構な肉体労働なんです。アラフォーな私には体力的な限界を 2011 で感じたので今回はボランティアスタッフをしませんでした。若い人たちが YAPC を支えていってうまく世代交代していくことも期待しているというのもあります。Perl の裾野を広げるには若い人の積極的な参加が重要だと感じています。来年以降も若い力に引っ張っていってもらいたいです。体力のいらない役目であればお手伝いできると思いますのでそういうのがあれば貢献してきたいなあと思います。
まとめ
今回は数年ぶりに会場が変わったことが関係しているのか分かりませんが、確かにイベントの雰囲気の違いを感じました。何が変わったのか感覚的なもので具体的に何なのか言えないのですが、明らかにある閾値を超えて次のステージに達した感がありました。企業でも社員数がある人数を超えると会社の雰囲気が変わっていくものです。今年の YAPC はこれまでで最大の参加者を記録したことも影響して新しい風が吹き始めたのかもしれません。キャズムを越えたというかそういう感覚。第一日目の懇親会で「お!この人も来てるのか!」という感じでしたし、日本の Perl が次のステージに立ったのかもしれません。来年は会場が東京ではない土地になるかもしれませんが、ともあれ Perl コミュニティが次の進化をしそうな感じでとても楽しみです。
あとこれは老婆心的なおせっかいですが、今回はいくつかのトークで若干エロい表現が見受けられました。面白さを追求した結果、下ネタに行くのは理解できなくはないですが、十分に魅力があって選ばれたトークなのだから、エロいところにいかなくても大丈夫だと思います。YAPC::Asia は世界で最も大きな Perl のイベントの一つで、トークのビデオが公開されることから、世界中の Perl Mongers が見てくれます。エロいのが目立つと「YAPC::Asia は見るときに注意が必要」とか噂になるのはせつないのでスピーカーのみなさんは表現について気にした方がいいよと思いました。
今年の YAPC::Asia も成功裏に終わったといえると思います。参加者の皆さん、スタッフの皆さん、スピーカーの皆さん、本当にお疲れ様でした。来年に東京以外の土地になるのならば早めに決定してほしいところです。せっせと貯金しないと。。

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